自己啓発セミナーや自己啓発本というものはこれまでなんとなく敬遠していた。
でも、明確な理由なく避けるのもセミナーや本を書いている人たちに失礼かと思い表題の本を手にしてみた。年齢がもうすぐ35歳にさしかかるというのも理由の一つである。
まず私が自己啓発セミナー講師や自己啓発本が苦手な理由から述べたいと思う。
彼らの多くは一方的な自分語りが多いのである。「私はこれで成功した。だからあなたもこれをやれば必ず成功します!」などと大抵言ってくる。決めつけ口調なところもあまり好きではない。
もう一つの理由は自分が流されやすい人間だからである。私は「宇宙は地球を中心に回っている!」と言われたら「そうなんだ!」と無批判に受け入れてしまうたちだ。そういう人間はむやみやたらと自己啓発を受けるべきではない。受けるにしても最低限怪しくない人を選ぶべきである。
話を本に戻そうと思う。著者は藤原和博さん。リクルートという大手企業で勤めたり、都内の中学校校長に就任したり、橋下徹が府知事であったころに特別顧問を引き受けていた人物だそうだ。その辺の田舎道を歩いてるだけじゃまず交わらない人物だ。ていうかどこを歩けばこういう人とすれ違うというのか。
本の内容はというと企業で10年以上勤めてきた35歳がこれからの人生をいかに舵切り進んでゆくかという内容であった。そのため、正社員歴1年、派遣社員歴合計5年、現在専業主婦もとい無職の私にはあてはまらない箇所も多々あったが同時に勉強になる部分もいくつかあった。
その一つが、フランス人の生活信条「アール・ド・ヴィーヴル」である。初めて聞いた単語であった。ちなみにグーグルで検索するとトップに競走馬が出てくるくらいなので私のみならずきっとほとんどの日本人が知らない単語だと思う。
「アール・ド・ヴィーヴル」とは、人と人は完全には分かり合えないと認めたうえでいかに自分らしく豊かに生きるかという考え方、あるいは自分にとっての暮らしの美学のようなものである。詳しくは本を読んでいただきたい。
この「アール・ド・ヴィーヴル」の根底にある、人はどこまで行っても一人であり、完全に分かり合えることはないという前提が私には意外だった。でも良い考え方だなと思う。確かに、人間関係でのいざこざって言葉を尽くせば分かり合えるという前提で動いているからこそ起きるような気もする。
趣味ほど突き詰めなくてよいところもこの思想の良いところであると思う。例えば食卓に花を飾る、とか夕食の盛り付けだけはきれいにする、とかそういった些細なことで良いらしい。
自分にとっての美学とはなんだろう。すぐに実践はなかなか難しいが自分にとってのアール・ド・ヴィーヴルとはこれだ!と胸張って言えるものができるよう、アンテナを張って暮らしていきたいと思った。
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