「アルジャーノンに花束を」に引き続き、ダニエル・キイス著の「5番目のサリー」を読んだ。サリー含め、5つの人格を持つ女の子のお話である。
この物語を読む前、私は「5番目のサリー」の後に「アルジャーノンに花束を」が出版されたんだとばかり思っていた。それはアルジャーノンの物語中、主人公チャーリィの人格が分裂しかけているかのような表現を見たからだ。これまではサリーを書く上で得た表現をチャーリィに用いたんだと思っていた。でもそれは逆だった。1959年にアルジャーノンの中編が出ており、サリーが発行されたのはその21年後であった。チャーリィという人物を描いた後の副産物としてサリーを見出したのかもしれない、と思った。
物語の中に、猫は9つの命を持っているという迷信が出てくる。初めのうち、私はその迷信自体を知らなかったので、読み流していた。しかし、物語終盤に差し掛かったところで気づいた。サリーも9人いるのである。8つ分の人生を体験し、これから9つ目の人生を生きる彼女の心はきっと誰よりも深く、その将来は明るいものだと強く感じる。すてきなお話だった。
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