某大理学部の大学院生だった頃のある日、研究室の同期であるMが通学中にバイクで単独事故を起こした。命に別状はないが足を強く打ったらしく、彼はしばらくその場にうずくまっていた。そこへ通りがかったOが介抱してくれ、病院まで連れて行ってくれたそうだ。コミュニケーション強者であるMは、病院へ行く道中でOが年下であること、同じ大学の文学部であること、アカペラサークルに所属していることなどを知った。
実は私はそのアカペラサークルに所属しているのである。後日研究室でMから、サークルでOからバイク事故の話をそれぞれ聞くこととなった。世間は広いようで狭いものだ。
タイトルの本、マリアビートルも同様に世間は狭いという感覚を味わえる作品である。同じ新幹線に居合わせた様々な人物の話がそれぞれの視点で描かれ、徐々に交錯してゆく。前作のグラスホッパーの登場人物が現れたり、今回は誰が生き残るのだろうと想像を膨らませたりしながら最後までワクワクしながら読んだ。
西日本の民なので東北新幹線には数える程しか乗ったことがなく、想像しづらい所もあったのでいずれ乗ってみたいと思う(10年前の本なのでもう車両は一新されているだろうけど)。
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